12月26日。昨日までのクリスマス気分はもうおしまい。世の中はひと息つく間もなく、新年に向けてなにかと忙しい師走へと突入していく。この時期、小学生の子どもを持つ親なら一度は考えるかもしれない。腑に落ちない心の内を隠しながらも、俗世間の風潮に従わなければならない、あの「クリスマスプレゼント」について。いい機会なので、クリスマスプレゼントについて、いたって真面目に考えてみようと思う。
暦は12月初頭。アマゾンのブラックフライデーに続き、楽天スーパーセール、そして世の中はクリスマス商戦に突入。子どもがいる家庭にとってはなにかと出費の多いこの時期。例にもれず、我が家でもクリスマスプレゼントの話題で持ちきりである。ウチの子どもたちはまだサンタクロースの存在を信じている。息子の話によると、クラスでは「サンタを見てしまったらもうプレゼントはもらえなくなる」という都市伝説がまことしやかに囁かれているらしい。
サンタクロース評価制度の導入について。
我が家でのクリスマスプレゼントは、クリスマスの1ヶ月くらい前になると、サンタさんへのメッセージカードに「今の自分の目標と欲しいもの」を書かせる。それをスマホで撮って「サンタにLINEで送る」。そうすると、クリスマスイブの夜にサンタさんが枕元にプレゼントを置き配してくれるというシステムで成り立っている。つまり、「お父さんはサンタのLINEを知っている」ということにより、父親の威厳を誇示している。もちろん、サンタクロースとは面識もなければ存在すら信じていない。なのでLINEの交換などできるわけがない。あいにく三太という知人もいない。そう、私は子どもたちに嘘をついている。
我が家には小学3年生の息子と2年生の娘がいるが、その二人の目標の立て方にそれぞれ個性が出ていて面白い。「勉強をがんばる」とか当たり障りなく且つ取りようによっては達成したことにもなるような目標を掲げるのが息子。かたや「体操の大会で1位になる」と明確で具体的な達成目標を掲げるのが娘。そしてきちんと結果を出してくるのも娘。すでに将来どんな大人になるのかの差が明白である。「プレゼントがもらえるから目標を立てる。」現状は目標を立てればもれなくプレゼントがもらえる。しかも、サンタクロースという名の会ったこともないおじさんに、自分の目標を宣言するだけで、だ。
その上で、では去年の目標に対して実績はどうだったかなどと、部長が中間管理職に詰め寄るようなことはしない。その時点で「何を頑張ろうと思っているか」だけに重きをおいている。冷静に考えてみると「目標に対する結果」を検証していないこのシステムは、果たして正しいのだろうか。PDCAを回せない組織はいずれ崩壊する。
P … パパは
D … どうして
C … クリスマスプレゼントを
A … あげなきゃいけないの?
これでは私だけがぐるぐる回っている状態ではないか。そこで考えたのが、去年のクリスマスに立てた目標を、この1年間でどこまで達成できたかによってプレゼントの質が変わるシステム。いうなれば「サンタクロース評価制度」の導入である。目標に達成していなかった場合、たとえば、
「ニンテンドー・スイッチ」→「リロ・アンド・スティッチ」
「鬼滅の刃のアクアビーズ」→「きれいな白さのニュービーズ」
などのように、目標を達成しないとなんとなくゴロの響きが似た商品に変わってしまうという仕組み。
「目標の達成率=商品名の正誤率」とし、達成率によっては、
スイッチが「一心堂のスイーツ」に、
アクアビーズが「ウォーターサーバーのアクアクララ」に
なってしまうこともありえる。
なかなか良い制度だと思う。これなら子どもたちも目標に向かって一生懸命頑張るであろう。ただ、よくよく考えたら「ウォーターサーバーのアクアクララ」はサブスクだがね。
クリスマスレゼントは誰からあげるか論について。
そして、クリスマス直前のこの時期になると夫婦間で毎年のように審議となるのが、
クリスマスプレゼント、親からあげるか?サンタにもらうか?
(©岩井俊二)
奥菜恵(ヨメ)としては、「サンタさんを信じている間はサンタでいいんじゃない?」派である。山崎裕太(私)の意見としては、いつか子どもたちもサンタクロースというまやかしに気づき、「今まで親にだまされていたのかよ!ちっきしょう!」と悪堕ちされても困るので、もうそろそろ「ハイ、親からのプレゼントだよ~」でいいのではないかと思っている。
世の中的にはどうしているのだろうか。気になったのでさっそくググってみると、数年前のアンケート調査がヒットした。
2018年に、子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」を運営するアクトインディ株式会社が、12歳以下の子どもを持つ全国の保護者958名を対象に「クリスマスプレゼントに関するアンケート」を実施している。
まず、「子供がサンタクロースをいつまで信じているか」について。アンケート結果によると、子どもがサンタクロースを信じなくなるのは8歳くらいから。ウチの子供たちは今まさにそのターニングポイントにいる。冒頭の「サンタクロース都市伝説」は半数近くの子どたちが「は?何言ってんの。サンタクロースは親だよ、おーや。」と思っているということか。もし、ウチの息子がその半数に属しているとしたら、「サンタのLINEを知っている」という父親の威厳は崩壊する。
「何言ってんだ、このオヤジ」と内心鼻で笑っているかもしれない。もしかして娘もか。「サンタなんかいないくせに、ヘタな小芝居うっちゃって、ダサっ」と心の中で私のことをバカにしているかもしれない。
そ、そんな…
もう誰も信じられない…
クリスマスなんかもういやだ…
私は病んでいる。
ちなみに、私が子どもの頃はサンタクロースはいなかった。クリスマスプレゼントはいつもオヤジが決めていた。
なんて書くと「ミカン箱が勉強机、ピアノは紙に描いた鍵盤」の貧しい家庭のイメージを与えかねないので、誤解を招かないよう補足すると、いちおう欲しいものは受け付けてもらえる。ただ、オヤジはちょっと変わった考えを持った人だったのである。たとえば、当時一大ブームになっていた任天堂の「ゲームウォッチ」が欲しいというと、バンダイの「クレイジーカラス」を買ってきた。いや、頼んだのはみんなが持ってるゲームウォッチの「オクトパス」やし。
ひとつ上の兄貴と結託して「ファミコンがほしい」というと、なぜか「セガ・マークIII」を買ってきた。金額もさほど変わらないはずなのになぜ?と子どもながらに思った。要するにオヤジは、王道をとことん嫌う生粋のマイノリティ主義者なのである。世の中で流行っているものはなんでもかんでも嫌う節があり、家電から自家用車にいたるまで、我が家には王道と呼ばれる人気商品はほぼ見当たらなかったと記憶している。なぜなのかは今となっては聞くこともできないが、オヤジなりの考えがあったのだろう。とはいえ、子どもにとってはいい迷惑である。私と同じマイノリティ商品を持っている友だちは限られてくる。というかほぼいない。どうしてもファミコンがやりたかったヤモヲ少年は、マジョリティ商品を持っている友だちに「僕にもやらせて」とお願いするしかなかった。今思うと不憫でかわいそうである。
・それがイヤで私はゲームが嫌いになった
↓
結果、外で元気に遊ぶ健康的な子どもに育つ
・マイノリティ思考をインプリンティングされた
↓
現代における多様性社会にも柔軟に対応
そう考えると、オヤジのクリスマスプレゼント方針は間違っていなかったとも思える。
…
いやいや、ファミコンやりたかったし。
話が大きくそれた。我が家の話に戻そう。結局のところ、我が家ではヨメの主張どおり「サンタクロース至上主義」を継続することで議決された。
クリスマスレゼントはいつまであげるか論について。
これも、子を持つ親世代が入れ替わったとしても永遠に繰り返される課題ではないかと思う。クリスマスプレゼントを誰からもらうかにもよると思うが、ウチの子どもたちはまだサンタクロースを信じている(はず)。では、サンタクロースを信じなくなったらクリスマスプレゼントをあげなくてもよいのか?そもそも、いつまでクリスマスプレゼントをあげなければいけないのか?私の場合はサンタクロースがいなかったので、そもそもその存在を信じていなかった。クリスマスプレゼントに関しても、確か小学6年生のラジコンを最後にもらえなくなったと記憶している。先のアンケートでは「クリスマスプレゼントをいつまであげるか」についても調査している。
アンケート結果によると、12歳になると3分の1の家庭では子どもにもうプレゼントをあげていない。ということがわかる。中学生(13歳)になったらあげなくてもいいのか?私の子ども時代と同じでいいのか?そこを明確に線引きしてほしかった。まぁヨシとしよう。息子はあと3年、下の娘はあと4年もあるということか。
ちょっと待て。
9歳からはサンタクロースを信じていないプレゼントは12歳まであげなければいけないということはだ、9歳から12歳までの3年間、これまでのサンタクロースありきの小芝居はどうすればいいのだ。
9歳になったからといっていきなり
「てってれー!実はサンタさんはお父さんでした~」
なんてバラしたところで素直に受け入れてもらえるのか。父親としてのガラスの威厳は、パリンッと音を立てて粉々になってしまうのか。「そんなんいいから早くスイッチ買ってこいや」とスクールウォーズの松村雄基のごとく豹変した息子に胸ぐらをつかまれるのか。
そ、そんな…
今までがんばって育ててきたのに…
もうクリスマスなんていやだーー!
やっぱり私は病んでいる。
先日ツイッターで、フォロワーさんから「中1になったらサンタさんから手紙が来てプレゼント来なくなりましたww」とリプをいただいた。また、「サンタさんから手紙が届く」っていう体のお手紙サービスもあるらしい。
サンタさんから手紙がほしい!子どもの純粋なお願いに応える方法 | くうかんしんぷるライフ
ステキやん。中学生になったらお手紙作戦でいこう!と一瞬考えたが、もうすでに「サンタクロースは存在しない」とわかっている現代の13歳に対して、どのツラさげて手紙を書けばいいのだろうか。そんな手紙を送った日にゃ、またしても息子が「わかったから。そのかわり小遣い上げてくれよ、なぁオヤジよぉ」と、ビー・バップ・ハイスクールの小沢仁志のようにスゴんでくるかもしれない。娘だって、3年B組金八先生の三原じゅん子のように冷ややかな眼をして……
これ以上はやめておこう、また病んでしまう。
とゆーか、いちいちたとえが旧い!
今年のクリスマスプレゼントをレビュー
そしてクリスマスイブの夜、仕事から帰ってきたらテーブルの上にこんなメッセージが。
息子からのメッセージ
サンタさんへサンタさんいつもおつかれさまです。毎年プレゼントを届けに来てくれてありがとうございます。
よかったらきゅうけいに「東京ばな奈」をぜひ食べていってください。
〇〇〇より
娘からのメッセージ
サンタさんへいつもプレゼントをくれたりしてありがとうございます。おつかれさまです。東京ばな奈「見ぃつけたっ」をあげますのでぜひたべてください。サンタさんこれからもがんばってね。
〇〇〇より
たくさんの子どもたちへプレゼントを届けなきゃいけないサンタクロースに、「東京ばな奈でも食べて休憩してって」とねぎらいの言葉が。しかもゴミ置き場まで。ほっこりするわ。夜中に「東京ばな奈」を2つも食べなきゃいけないお父さんのこともねぎらってほしい。
こんな純粋な子どもたちに「サンタクロース評価制度」なんて考えていた、器のちっせぇ自分を責める。自分が子どもの時に体験した切ない思いを、自分の子どもたちにも味わわせるつもりなのか、このばかちんが。
いいよいいよ、サンタさんに思う存分お願いしなさい。(ただし金額については空気を読みなさい)
ということで、ここからは今年のクリスマスプレゼントは子どもたちが何を欲しがって、どんな商品だったのかをレビューしたいと思う。いきなりアフィリエイトっぽくなっとるがね。
娘へのプレゼント「ココさかだちして」
小2の娘は基本的に物欲がない。ただし、頭の中は「宇髄天元様」のことでいっぱいである。誕生日のプレゼントも「欲しいものは?」と聞いても「宇髄天元」グッズしか出てこない。なので、我が家には宇髄天元様がいっぱいいる。今年はめずらしく、「わたしの言葉がわかるお世話ペット」が欲しいと言い出した。なぜロボットペットかはわからないが、これもずっと欲しかったわけでもなく、数分前に観たYouTubeで紹介されていたからだと思われる。要はなんでもいいのである。今年、娘が書いたサンタさんへのメッセージ。
サンタサンへ
わたしのほしいものは、「わたしのことばがわかるお世話ペット♪」ピアノのはっぴょう会でじょうすにひけるようにがんばりますのでよろしくおねがいします。♪
〇〇〇より
翌日、たまたまショッピングモールで見かけた別シリーズの「ココさかだちして」が気に入って、結局「わたしの言葉がわかるお世話ペット「ココ さかだちして」(セガトイズ)」になった。今回買ったのは体が白色の「クリーム」。茶色の「アプリコット」もある。これがまた、ゆるくて可愛いのである。しかも人間の声を認識して24個の特技を披露してくれる。
「ココ」と名前を呼ぶと「ワン」と反応したり、おすわり、ふせ、お手もできる。犬語はしゃべるは、歌も歌うわ、ダンスやヨガもするし、さかだちだってする。あと、商品企画者のおふざけとしか思えないが、オナラもする。
小2といえどもまだまだぬいぐるみで遊ぶこともある娘にとっては、いい遊び相手になること間違いない。さっそく、宇随天元様を乗せてお散歩させていた。
息子へのプレゼント「カメラ付きラジコンカー」
かたや、小3の息子は「物欲の鎌足」である。なにかにつけ「コレほしい」「アレほしい」「あ、やっぱコレがいい」と買ってもらえるとなると目に入るもの全てが欲しくなるタイプ。私のDNAが濃い。今年は「ニンテンドー・スイッチ」が欲しいとかなり前から宣言していたが、表向き上、視力が悪いからゲームを禁止しているのでそれはダメ。本当は私がゲームが嫌いだから。第二希望はというと「タミヤのラジコンカー」。それいいね!と飛びついたのはホビー大好きっ子の私。
私がこどもの頃も自分で組み立てるタイプのラジコンが欲しくて、だめもとでオヤジにお願いしたらあっさり買ってもらえた記憶がある。たぶんオヤジも好きだったに違いない。案の定、「マイティフロッグ」が欲しいって言ってるのに「グラスホッパー」になってしまったが。ただ、小3の息子ではまだ組み立てるのが難しいのと予算も大幅にオーバーしてしまうので、組立済みのラジコンの中から選ばせた。今年、息子が書いたサンタさんへのメッセージ。
サンタさんへ
4年生でレギュラーになるようバスケをがんばりますので、「ラジコンカー こども向け オフロード カメラ付き RCカー1/18 四輪駆動 2.4GHz リモコンカー」をください。
〇〇〇より
パソコンで見せたアマゾンの商品名を忠実に書いてくるところに几帳面な性格が現れている。
「カメラ付きラジコンカー 1/18 四輪駆動(PEHOST)」これはいい。ただラジコンを走らせるだけでなく、カメラが付いていてコントローラーに装着したスマホでその映像を見れるのである。
「これだったら人の行けないところも探検できるね」と息子。
「お、おお、そうだね」とうなずきながら他の使い方を妄想している不純な父親。
さっそく、外で走らせてみた。なかなかの迫力である。息子の言っていた人の行けないところも探検してみた。これはすばらしい!おもちゃとは思えないくらい使い道がたくさんありそう。あんなところやこんなところも、え、そんなとこまで!探検できちゃうかもしれない。息子、ナイスチョイス。
来年のクリスマスプレゼントについて。
というわけで、いたって真面目にクリスマスプレゼントについて考えてみたわけたが、なんやかんやいって、今年も子どもたちの笑顔につつまれた楽しいクリスマスだったんだから、それでいいじゃないの。幸せならば。
さて、来年はそろそろ上の息子がサンタクロースの存在について疑問を持つようになるお年頃。いや、アンケートデータのとおり、本当はもう「サンタクロースはいない」ということを受け入れているのかもしれない。
よし、来年はサンタのコスプレでもして、「サンタクロース都市伝説」 に終止符をうったろかしゃん。
さよならサンタクロース。よいお年を!