せっかく行くなら、見仏もしませんか?
そもそものきっかけは、ヨメが神戸ルミナスクルーズと有馬温泉の宿泊招待券を頂いたからで、神戸といえば異人館かスウィーツか今の時期だとルミナリエといったところでしょうか。
どうせならと例の如くいろいろググッてみると、神戸周辺には貴重な仏像が点在していることが判明。(もちろんヨメは拒絶)
今回は見仏、もとい、観光コースを入念に計画したかいあって、結果的に最高にステキな一周年記念旅行となりました。
まずは神戸へは向かわず、中国道に入り宝塚ICで降り、
めざすは大本山中山寺。
ここは聖徳太子が開基したとされる日本最初の観音霊場で、また源頼朝や豊臣秀吉、明治天皇が祈願した安産祈願の霊場としても有名なお寺。
阿吽仁王が迎える山門をくぐると、弁財天、大日如来、毘沙門天、阿弥陀如来、普賢菩薩、虚空蔵菩薩にはじまり、ご本尊の十一面観音から、薬師如来、聖徳太子勝鬘経講讃坐像、五百羅漢まで、
いわば仏像の万国博覧会である。
境内にはエスカレータまであり、中山さん人気のほどがうかがえる。
しかしながらご本尊はじめほとんどの秘仏は見れずじまい。残念。
今日はお宮参りということもあり赤ちゃんを連れた家族も多く、写真撮ってくださいと頼まれたりする中、
いやあれは釈迦如来じゃなくて胎蔵界大日如来だよ
とか、
どれが聖徳太子なの?
などといいながら、お堂を覗きこむ怪しげな二人。
続いて西宮市甲山にある神呪寺へ。
「神」「呪」という文字列からしてそそられまくり。
ちなみに「神呪」とは、真言などとほぼ同義で”仏の真の言葉”という意味があるそう。
ここには日本三大如意輪観音がおわせられるということで期待に胸躍らせ、お坊さんにたずねてみたところ、ご本尊は年一回5月18日の融通観音大祭でしか御開帳されないとのこと。とほほ。
結局見れたのは納骨所奥の不気味な聖観音のみ。
せっかくきたのにぃ
とぐずるヨメに申し訳なく思いつつ、境内から見下ろす西宮市街の眺めで取り繕う。
来年の5月にまた来よう
行かない。
・・・
境内を出て県道をわたると仁王門にはなぜか廣目天と増長天がおわした。
到着から4、5時間あまり、昼飯も食わずの見仏三昧で、そろそろ嫌気がさしてきたヨメを察して、
んじゃ、次は神戸市内でスウィーツだね!
と、神戸市内に向けイソイソと車を走らせ、中央区にあるホテルピエナ神戸のラウンジでロールケーキを喰らう。
またこの胡桃入りの生クリームが美味いこと!
ロールケーキ大好きっ子のワタクシとしては、たまらないひととき。
休憩もほどほどに、ルミナスクルーズの時間が迫ってきたので、メリケンパークにあるオリエンタルホテルに向かう。
ルミナスクルーズでヨメと語り合う。
豪華客船クルーズって実際のところ楽しいのかどうか疑心暗鬼な感もあったのだが、夕暮れ間際に出発し船上から見る瀬戸内海の夕暮れ、ライトアップされた明石海峡、海上から眺める神戸の夜景、知らず知らずのうちに気分も盛り上がりまくり。
約2時間半の遊覧のあと、ロマンティックな気分に浸りながら、本日の宿である有馬温泉に向かう。
温泉旅館最高。
ビールをかっくらいほろ酔い気分で露天風呂、サウナも5分2セット。
うーん、最高のひととき。
お寺まわってビール飲んで温泉入ってサウナも入って、ってまるで定年間際のオッサンのようです。
それはそれとして、気分はいい感じで夜も更けていきました。
続いて二日目。早起きして朝食食べてチェックアウトして、冬の早朝の空気を心地よく感じながら、本日もさっそく仏像巡りへれっつらどん。
有馬温泉界隈には由緒あるお寺が多い。
まずは、
南無仏太子像がある善福寺からスタート。
残念ながら南無仏太子像は展覧会にお出かけとのこと。
そそくさと善福寺を後にし、徒歩で温泉寺へ向かう。
薬師三尊はなかなかの迫力。このあたりは豊臣秀吉ゆかりの地でもあり、太閤ゆかりの地としてうたう名古屋市の住民としては微妙な気持ち。
丈六の薬師如来に圧倒されたが、波夷羅大将がどれだかわからずじまいで、また日光月光の腰のくびれがあまりセクシーではないことにややげんなり。
続いてすぐおとなりにある念仏寺へ。
今日は法会かなにかあるのか、朝も早くからお坊さんたちがせわしなく動いていた。
こっそりと本堂に入り、伝快慶作とされる阿弥陀如来立像を拝む。遠くてよくはわからなかったが本堂内の浄瑠璃世界観と併せてみるとそれはそれは荘厳。
ついでに極楽寺も拝観し、この時点でまだ9時そこそこ。ヨメもまだすっぴん状態。
「じゃ、つぎはちょっと走ります」
有無を言わせず、車を40分ほど走らせ、
日本の原風景的な山中にある無動寺に到着。
ヨメの化粧もすっかり完了。
駐車場から参道までの雰囲気は廃寺さながらで不安になったが、呼鈴を押して拝観料200円を払い本堂に入ると、その異様な雰囲気にちょっと足がすくむ。
おそるおそる本堂の奥殿にまわると、そこには身の丈3mのご本尊大日如来がドーン!
その左には釈迦如来が、右に阿弥陀如来、手前左に十一面観音、中央には不動明王、そして右にまた阿弥陀如来が、
ドーン、ドーン、ドーン、ドーーン!
てな感じで、そのド迫力に圧倒される。いずれも平安時代作だそう。
気のいいご住職さんと二言三言かわし、ついつい5仏セットのポストカードを買ってしまう。
さて、次はこの旅の(自分の中での)オオトリ、
国宝阿弥陀三尊がおわす浄土寺へ。
昨日まで見仏に対してあまり乗り気ではなかったヨメも、今日はそこそこノリノリ。
やっぱいいでしょ、仏像は。
下道でこ一時間かけようやく到着。ワクワクのドキドキで浄土堂に入る。
スゴイ。
ただただスゴイの一言。
大仏様式の天井高の堂内には円形の須弥壇のみ。
そしてその上には像高5m30cmの阿弥陀如来立像、その両脇侍には3m70cmの観音菩薩と勢至菩薩。
朱と金で彩られた西方極楽浄土が目に浮かぶようです。
夏至のころには背面西側の蔀戸から陽光が差し込み床面を反射して堂内全体が真っ朱に染まるとか。
来てよかった、と心から思った。
自分的にはここまでで神戸旅行は大満足。
せっかくなのでと神戸市内に戻り、生田神社にも参って、北野界隈にあるフランス料理レストランでランチディナー。
ルミナリエも行こうということになり、時間つぶしに異人館界隈を散歩。
その後、三宮に向かい、ボックサン三宮店でこの旅二度目のロールケーキを喰らう。
生クリームが少なめのカステラ風ですな。
日も暮れはじめ、ルミナリエの行列に並ぶ。
案内板には「ルミナリエまで1時間」の表示。元旦の熱田神宮並みの行列にややうんざりしたが、いよいよ角を曲がってルミナリエが見えたときは、周囲のどよめきに合わせてわれわれも唸った。
「すごいねすごいねー」
の連呼。
イスラム寺院のようなイルミネーションとこの行列、ちょっと宗教チックではあるが、神戸震災の慰霊の意も伝わってくる。
旧外国人居留地からぞろぞろと歩き、東遊園地に着くまで約40分。
フィナーレはそれこそ「光の寺院」であった。
そんなこんなで神戸大満喫旅行も終わり、明日からの仕事のことを思いながら高速をすっとばして帰路につく。
次は奈良だね!
ヨメの言葉がちょっと嬉しかった。
(仏像好きとして。)