刺激もアイデアも
伝説の味も本に学ぶ
「ノーマ―北欧料理の時間と場所」レネ・レゼピ

シェフのレネ・レゼピとコペンハーゲンにある彼の革新的なレストラン“ノーマ”に隠された料理哲学と独創性に迫った本である。ノーマのあらゆる側面とその料理の秘密が明らかにされている。撮り下ろし写真つきのレシピを90種類以上紹介すると同時に、レゼピによる季節の北欧料理の新たな発見と、彼がどのようにしてそれを世界に通じる料理へと変身させたのか、またシェフとしてのレネ・レゼピの進化が語られる。グルマン世界料理本大賞2010世界のベスト出版社賞受賞。

amazon カスタマーレビューより引用

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「ノーマ―北欧料理の時間と場所」レネ・レゼピ

刺激もアイデアも伝説の味も本に学ぶ。

恥の多い生涯を送って来ました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。自分は東北の田舎に生れましたので、汽車をはじめて見たのは、よほど大きくなってからでした。自分は停車場のブリッジを、上って、降りて、そうしてそれが線路をまたぎ越えるために造られたものだという事には全然気づかず、ただそれは停車場の構内を外国の遊戯場みたいに、複雑に楽しく、ハイカラにするためにのみ、設備せられてあるものだとばかり思っていました。

しかも、かなり永い間そう思っていたのです。ブリッジの上ったり降りたりは、自分にはむしろ、ずいぶん垢抜けのした遊戯で、それは鉄道のサーヴィスの中でも、最も気のきいたサーヴィスの一つだと思っていたのですが、のちにそれはただ旅客が線路をまたぎ越えるための頗る実利的な階段に過ぎないのを発見して、にわかに興が覚めました。また、自分は子供の頃、絵本で地下鉄道というものを見て、これもやはり、実利的な必要から案出せられたものではなく、地上の車に乗るよりは、地下の車に乗ったほうが風がわりで面白い遊びだから、とばかり思っていました。恥の多い生涯を送って来ました。

自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。

自分は東北の田舎に生れましたので、汽車をはじめて見たのは、よほど大きくなってからでした。自分は停車場のブリッジを、上って、降りて、そうしてそれが線路をまたぎ越えるために造られたものだという事には全然気づかず、ただそれは停車場の構内を外国の遊戯場みたいに、複雑に楽しく、ハイカラにするためにのみ、設備せられてあるものだとばかり思っていました。

しかも、かなり永い間そう思っていたのです。